【書評・レビュー】「いきもの六法」は昆虫採集、魚とりを楽しむ人が犯罪者にならないための必携書だった!
※「いきもの六法」本文チェックリストより引用
なに急におそろしい!?
犯罪者にはなりたくないよっ!!
というわけで今回は書評です。
2022年4月に発売した、動植物の採集等に関する法律についてまとめられた「いきもの六法 日本の自然を楽しみ、守るための法律」についてレビューしていきます。
結論からいうと、植物(山菜含む)、昆虫、川や海の生きもの、両生類、爬虫類など動植物を採集する人は全員読んでおいた方がいい良書でした。
「いきもの六法」おすすめポイント
いきもの六法のおすすめポイント
・法律についての基礎知識から紹介してくれる。
・昆虫、植物、哺乳類、など分類群ごとに関わる法を紹介。
・正しい最新情報を得るための検索ワードが法律ごとに紹介されている。
・〇〇を採集するときのチェックリストがついている。←便利
・付表として法律や条令の対象種一覧がついている。
野生動植物に関わるあらゆる法律を網羅した素晴らしい本でした。
では中身も紹介していくよ!
「いきもの六法」は法律に関する本
山と渓谷社いきもの部から発刊された「いきもの六法」。
その名の通り法律に関する書籍で、第一章では法律そのものの難しさについて詳述されています。日本国憲法が保障する基本的人権と公共の福祉の対立、つまり動植物の採集は個人の自由だが多くの人に悪影響が出る場合は法律で制限される、といったことが分かりやすく記載されています。
法律とか社会科的な分野は苦手だったから初歩的なところから始めてくれるのは助かる…!
さらに第一章では生きもの採集での基本となる7つの法律・条令について紹介されます。
種(しゅ)に対する規制なのか、場所(地域)に関する規制なのか、という分け方も分かりやすくてありがたい内容ですね。
「いきもの六法」で扱う分類群
昆虫類 | 植物 |
山菜 | キノコ |
哺乳類 | 鳥類 |
爬虫類 | 両生類 |
淡水の魚、生物 | 海の魚、生物 |
いきもの六法で扱う、というより法律で扱うという感じですね。
捕まえたり触れたり移動させたりすると違反となる生きものに関してはほぼ網羅されています。
文化財保護法、種の保存法、など関わる法律が同じでも分類群ごとに整理されているので、とても読みやすいです。「読者の興味ある分類群」に絞って読むこともできるので全ページ読む必要が無いのもうれしいかも。
もちろん全部読めば国が野生動物に対してどのように法整備しているのか大枠をつかむことができます。
近年は気軽にSNSにアップできるので、うっかり特定外来生物(移動や飼育が禁止)をアップして炎上…なんてことを避けるために採集などをする方はぜひ全員読んでほしいものです。
正しい最新情報を手に入れるための検索ワード
法律や規制の内容は年々変化します。
「いきもの六法」では変化に対応するため、該当分類群のページに「昆虫 種の保存法」などの検索ワードも添えられています。環境省のサイトなど、見るべきウェブサイトも指定してあるので迷いません。
ブロガーのムーアが言うのもなんですが、個人サイトなどの情報も古くなったり誤っていたりすることがありますので正確な情報の元が記載されていると安心です。
ほら個人サイトは更新するのも大変だからさ…笑
違法行為をしないためのチェックリスト
冒頭で引用したチェックリスト、こちらも分類群ごとに用意されています。
ただし、「(見つけたor探している昆虫は)特定外来生物ですか?」のような書き方なので該当する種かどうかは自分で調べないといけません。
もちろん本書の中に一覧がありますので名前が分かっていれば大丈夫ですが、よく分からない虫を捕まえてそれが法律にひっかかるかはある程度知識が必要、ということですね。
そのうえで、違反をしないためにチェックをするのには使えます。
頻繁にSNSにアップしたりする方は、いつもと違う種や場所でやるときに活用してみるといいでしょう。
いきもの六法のコラム、付表
いきもの六法はコラムも充実しています。
計6つのコラムで、南西諸島の話、違反者や傷病鳥獣を見かけたら、希少種、狩猟対象種の話などが書かれています。〇〇を見かけたら、なんてありそうなシチュエーションでつい読んでしまいます。
また、巻末の付表には分類ごとに該当する法律・条令の対象種一覧がリストアップされています。これは便利ですね。眺めているだけでも「あの種も指定されてたんだ~」と勉強になります。
これまとまって見られるのはかなりありがたいですね。
希少種や影響の強い外来種の一覧でもありますから、種名を見ているだけでふむふむとなるわけです。
Kindleとか電子書籍で持っておくと一覧やチェックリストが使いやすいね。
いきもの六法、生きもの好きは是非ご一読を!